かずねっと

京都に移住した元引きこもりが自分の殻を破って人生楽しく生きるブログ!

家出をした犬が1週間後、体にワイヤーが巻き付いた状態で帰ってきた話

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山奥の田舎で、当時5頭ほど犬を飼っていました。

屋外で飼っている子と屋内で飼っている子。

そのうちの1頭が母犬で、他の子はみんな我が家で産まれた子です。

数頭は里子に出しましたが、何人も里親が見つかるわけでもなく、残った子はウチで育てていました。

 

母親は耳が垂れたパピヨンのような小さい体でしたが(捨て犬だったのではっきりとした犬種はわかりません)、父親がシェパードだったためか、子犬たちは母親よりも大きく育っていきました。

 

中型犬ほどのサイズになった子供たち。

家の中で飼っていた子のうちの1頭は、時々、玄関を開けると外に飛び出して行ってしまうような子でした。

飛び出して行って何をするかと言えば、外の犬とじゃれあうか、すぐ近くをウロウロするか。

たまに山の中に入っていってしまって見失うこともあったけど、10分、20分もすれば帰ってくるような子でした。

 

ある日のこと、その子がまた家の中から外へ飛び出して行きました。

捕まえる前に遠くへ行ってしまったので、またすぐ帰ってくるだろうと、探さずに待つことにしました。

しかし、1時間以上経っても帰ってきません。

さすがに帰ってくるのが遅いので、心配になり、探しに行きました。

 

歩いて数分のところに犬を飼っているお宅があったので寄ってみましたが、そこに来たわけでもなさそう。

この辺りの家の庭に入り込んでいるという様子もありませんでした。

 

あとは周りに山があるだけ。

その子の名前を大声で呼んでみても、中型犬がガサゴソと動き回るような音は聞こえてきませんでした。

山の奥の方まで入って行ってしまったのかもしれません。

下手に探しに行くと、今度は自分が帰ってこれなくなってしまうような、そんな深い山だったので、探しに行くのは諦め、帰ってくるのを待ちました。

 

その日はとうとう帰ってきませんでした。

 

次の日も、帰ってきませんでした。

 

その次の日も、そのまた次の日も、犬は帰ってきませんでした。

 

そうして1週間ほど経ったある日の夕方。

家の中に居た私は、玄関から物音がすることに気付きました。

犬たちもなんだか興奮している様子。

私は物音の正体を確かめに行きました。

 

玄関を開けるとそこに居たのは、あの日飛び出して行った子。

ようやく帰ってきたのです。

 

そして安堵したと同時に目に入ってきたのは、腰の辺りに巻き付いた銀色のワイヤー。

それは腰にキツく巻き付いており、皮膚は擦れて血が滲んでいました。

そのワイヤーには、ちぎれてボロボロになった同じような太さのワイヤーが繋がっていました。

 

そこで初めて気付きました。

この子が罠にかかっていたことに。

山奥に入って行き、そして、恐らく猪用であろうこの罠にかかってしまった。

帰ってこなかったのではなく、帰ってこれなくなっていたのだと。

 

私は涙があふれてきました。

 

頑丈な銀色のワイヤーがボロボロになってちぎれている。

ペンチを使っても、そう簡単には切ることができなかったそのワイヤー。

そんなワイヤーを、帰りたいという思いで必死に噛みちぎったのでしょう。

よく見ると、その子の歯茎も血で滲んでいました。

 

それでも、帰ってこれた嬉しさからか、元気に尻尾を振るその子。

 

「おかえり」

 

私は泣きながら、その子を抱きしめました。